でも、尊君と付き合おうとかそんな邪な気持ちは持っていない。分不相応だと分かっているから。

 私はこうして、今もクラスメイトと幸せそうに笑っている尊君を見るだけで十分。それだけで癒される。

 はぁぁぁ……可愛いしかっこいいし、尊君万歳。

 その時尊君が、一瞬こっちを見た。

 そして、視線が絡む。

 わっ、ダメダメ……目を合わせちゃ、私死んじゃう!

 尊死するとすぐに分かったから、不自然に見られないレベルで私は視線をそろーっと逸らした。

 それが命取りになるなんて、知らずに。



 その日の授業が終わって、早速帰ろうとする。

 今日は確か尊君は塾の日だから……帰るのは八時半くらいかな。

 だったらきっと疲れるよね。何か良い寝具、なかったかなぁ。

 だけど、尊君にとったら何でもない私が言ったっておかしいよね。ボロを出すわけにはいかないし。

 尊君が疲れてる様子は見たくないから、心の中で祈っておこう。

 そう思った矢先だった。

「福本さん。」

「……ひゃいっ!?」