床に寝転がって天井を見上げてみる。 (俺って何で大学に入ったんだろう?)
ふとそんな疑問が頭を掠めていった。 高校を出たら次は大学だ。
いつの頃からか、そう思い込んでその思い込み通りにここまでは知ってきた。 それで良かったんだろうか?
そして今では綾子と一緒に居る時間も出来て(これが大学生だ。)みたいな顔をしている。 それでいいのか?
ぼんやりと考え込んでいると忘れ去ったはずのことまで思い出してしまう。 いつだったか沼田が言っていた。
「人間ってさあ、何をしに生まれてくるんだろうなあ?」 「そんなの神様じゃなきゃ分かんねえだろう?」
「でもたぶん神様でも分からないと思うよ。 いくら人間を作ったからって、、、。」 「そりゃそうかもしれねえけど何かやりたいことが有ったから造ったんだろう?」
「そうとも思えないんだよなあ。 今の人間を見てみな。 何のために生きてるか分かってないやつばかりだろう。」 「俺もか?」
「そうだよ。 俺だって何のために生まれて何のために生きてるのか分からない。」 「だから人間じゃないのか?」
「そうとも言えるかなあ?」 「だいたいなあ、何で急にそんなことを考え出したんだよ?」
「虫を見てたらそう思ったんだよ。」 「虫ねえ。」
確かに虫の類は春に生まれて秋には死んでしまう。 冬を越す虫なんてそう多くはない。
秋の冷たい風の中でペア探しをして卵を産み付け死んでしまうんだ。 子供たちがどういう生き方をするのか見届けることも無くね。
コオロギが、マツムシが、鈴虫がチンチロリンって鳴いてる頃の空気は嫌というほど寂しいじゃないか。
まるで虫たちの葬送行列を見送ってるみたいだよな。 それに比べて人間様は、、、。
古くても一応は形の整った家に住んで二人の親が居て子供時代はいろいろと世話してもくれる。
でも何処から子供と大人の区分けをするんだろう? 高校を卒業した頃かな?
大学生になると半分子供半分大人って雰囲気になるよねえ。 家に居てもどっか雰囲気が違うんだ。
それは何でなんだろう? 二十歳になるからか?
なんか今日は哲学的なことばかり考えている。 ソクラテスにでも弟子入りしようかな。
ゴン! 押し入れのほうから大きな音がした。
(何だ?) そう思って押し入れを開けてみると、、、。
綾子はあっちへコロコロ、こっちへコロコロしながら寝ている最中だ。 (たぶん壁に突っ込んだんだな。)
俺はまたまた床に寝転がってあれやこれやと思案を巡らせている。 何で男と女が居るんだろう?
そして今では男ではない男、女ではない女、男でも女でもない人間が居る。
さらには女同士 男同士のペアが居たってそれはそれで不思議ではない。
それはどういうことなんだろう? 人間以外の世界では男と女しか居ないのに。
不思議なことばかりだよなあ。 そして不思議であればあるほど騒ぎたい連中がふっ付いてきて騒ぎまくる。
lgbtqの問題だって騒がなくてもよかったはず。 変に騒ぐから変な問題になっちまった。
そりゃね、珍しいやつが居れば最初は好奇心とか警戒心が先に立つだろうけど、いつの間にか消え失せて社会に馴染んでいるものだ。
それがさあ変な形で騒いだもんだから今だってlgbtqの人たちはすごく変な目で見られている。 それを差別だとか虐めだとか言ってまたまた叩くだろう。
だからダメなんだ。 lgbtなんて昔から有ったんじゃないのか?
当たらず障らずってのは言い過ぎかもしれないけどそうやって人たちは受け入れてきてたんだよ。 だから目立った騒ぎにもならなかった。
今はどうだ? 気に入らないとすぐに裁判を起こしたがる。
そしてやたらと賠償だ慰謝料だ何だって騒ぎ立てる。 だから国がおかしくなるんだ。
それが行き着くところは何か? カナダにまで行って「日本で差別されてます。」って難民申請をしたやつが居るよね?
ふつうに生活していれば自然と受け入れられたものを騒ぐから浮いてしまって日本に住めなくなったんだろう? 憐れというか愚かというか、、、。
だからさあ何でもかんでも騒げばいいってことにはならないんだよ。 今の人間にはそれが分からない。
だから大人になっても小学生並みの考え方しか出来ないやつが増えるんだ。 20年後の日本が恐ろしいね。
6時を過ぎた頃、綾子もやっと目を覚ましたらしい。 「おはようございます。」
「おいおい、夜だぜよ。」 「それでもやっぱりおはようございますです。」
「あっそう。」 「一郎さんはどうしてたんですか?」
「綾子ちゃんがコロコロ転がってるのを見ながら寝てたよ。」 「えーーー? 私ってそんなに転がってました?」
「ああ。 襖を殴ったり壁に突っ込んだりしてたよ。」 「それでか、、、何か痛いなって思ったんですよ。」
「夜飯はどうする?」 「どっかで食べたいな。」
「よし。 じゃあ食べに行こう。」 そこで俺は綾子を連れて外へ出た。
暗くなった夜道を二人で歩いていく。 ホームレスが屯している時間じゃなくて良かった。
あいつらがウロウロしていたら安心して出掛けられないからな。 んでもってバス通りへ。
仕事帰りのマイカー族が数珠繋ぎになって走っている。 大変だねえ 大人って。
俺たちは歩道を歩きながら店を探している。 表に出てくることってそんなに無いからなあ。
20分ほど歩いてやっと見付けたのはファミレスだ。 「ファミレスでもいいかい?」
「いいですよ。 なんか久しぶりだなあ。」 ジョンボーイっていうファミレスなんて知らなかったな。
中に入って空席を探す。 ウェイトレスが走り回っている。 親子連れが多そうだな。
見付けたのは窓際の38番。 テーブルの真ん中にドライフラワーが飾ってある。
「この店、初めて来ました。」 「俺もだよ。 いつもはあの食堂か居酒屋で食べてるからさあ。」
「そういえば今夜 お店は?」 「ああ、休みを貰ったよ。 綾子ちゃんの面倒を見てやれって言われた。」
「まあ、、、。 私の面倒を?」 「そうみたいだよ。 お似合いな子供だなって。」
「嫌だなあ。 私はもう、、、。」 「ご注文はお決まりですか?」
綾子の話を遮るようにウェイトレスが聞いてきた。 「そうだなあ、オムライスとチーズカレーを。」
「畏まりました。」 ウェイトレスが行ってしまった後、俺はホッとした顔で水を飲み干した。
「あらあら、一気に飲んじゃって。 お子様ですねえ。」 「こらこら、お子様は無いよ。」
「いえいえ、立派なお子様ですよ 私の。」 「まいった。」
と言いながら綾子もコップの水を一気に飲み干してしまった。 「負けてないなあ。」
「一郎さんの真似をしただけです。」 「変なやつ。」
「何か言いました?」 「何も言ってないよ。」
「変なやつって聞こえたんですけど、、、。」 (ゲ、聞いてやがった。)
聞こえないように言ったはずなのに綾子はちゃんと聞いていた。 「耳 良過ぎ。」
「毎日掃除してますから。」 「やられた。」
「私の勝ちですね?」 「負けたよ。」
「お待ちどう様でした。 ごゆっくりお召し上がりください。」 ウェイトレスが食事を運んできた。
「美味しそう。」 「食べよう。 たまにはこういうのもいいなあ。」
「一郎さんとファミレスで食べるなんて思いもしませんでしたよ。」 「そうかなあ? まあ俺は居酒屋の人間だからな。」
綾子はオムライスを頬張っている。 皿いっぱいのでっかいオムライスだ。
「そんなに食べれるのか?」 「私、子供の頃から大食いなんです。 痩せてるけど、、、。」
「痩せの大食いか、、、。」 俺はカレーを食べながら綾子の口元を見詰めている。
「恥ずかしいなあ。 そんなに見ないでくださいよ。」 「ごめんごめん。」
あの時、この唇にキスをしたんだ。 そんなことまで思い出してしまう。
レストランには次から次へと客が入ってくる。 タバコを吸い始める人も居る。
さすがにお酒は無いらしいけど、、、。 タバコの煙が流れてくると綾子は嫌そうな顔をする。
食べ終わると水を飲みながら「早く出ましょう。」って俺に言ってきた。 「分かった。」
のんびりしたい気持ちを抑えて財布を取り出す。 「俺が払っとくよ。」
「ご馳走様でした。」 ペコリと頭を下げる綾子は不思議にも可愛く見える。
(捕まえて良かったな。) 俺は初めてそう思った。
ふとそんな疑問が頭を掠めていった。 高校を出たら次は大学だ。
いつの頃からか、そう思い込んでその思い込み通りにここまでは知ってきた。 それで良かったんだろうか?
そして今では綾子と一緒に居る時間も出来て(これが大学生だ。)みたいな顔をしている。 それでいいのか?
ぼんやりと考え込んでいると忘れ去ったはずのことまで思い出してしまう。 いつだったか沼田が言っていた。
「人間ってさあ、何をしに生まれてくるんだろうなあ?」 「そんなの神様じゃなきゃ分かんねえだろう?」
「でもたぶん神様でも分からないと思うよ。 いくら人間を作ったからって、、、。」 「そりゃそうかもしれねえけど何かやりたいことが有ったから造ったんだろう?」
「そうとも思えないんだよなあ。 今の人間を見てみな。 何のために生きてるか分かってないやつばかりだろう。」 「俺もか?」
「そうだよ。 俺だって何のために生まれて何のために生きてるのか分からない。」 「だから人間じゃないのか?」
「そうとも言えるかなあ?」 「だいたいなあ、何で急にそんなことを考え出したんだよ?」
「虫を見てたらそう思ったんだよ。」 「虫ねえ。」
確かに虫の類は春に生まれて秋には死んでしまう。 冬を越す虫なんてそう多くはない。
秋の冷たい風の中でペア探しをして卵を産み付け死んでしまうんだ。 子供たちがどういう生き方をするのか見届けることも無くね。
コオロギが、マツムシが、鈴虫がチンチロリンって鳴いてる頃の空気は嫌というほど寂しいじゃないか。
まるで虫たちの葬送行列を見送ってるみたいだよな。 それに比べて人間様は、、、。
古くても一応は形の整った家に住んで二人の親が居て子供時代はいろいろと世話してもくれる。
でも何処から子供と大人の区分けをするんだろう? 高校を卒業した頃かな?
大学生になると半分子供半分大人って雰囲気になるよねえ。 家に居てもどっか雰囲気が違うんだ。
それは何でなんだろう? 二十歳になるからか?
なんか今日は哲学的なことばかり考えている。 ソクラテスにでも弟子入りしようかな。
ゴン! 押し入れのほうから大きな音がした。
(何だ?) そう思って押し入れを開けてみると、、、。
綾子はあっちへコロコロ、こっちへコロコロしながら寝ている最中だ。 (たぶん壁に突っ込んだんだな。)
俺はまたまた床に寝転がってあれやこれやと思案を巡らせている。 何で男と女が居るんだろう?
そして今では男ではない男、女ではない女、男でも女でもない人間が居る。
さらには女同士 男同士のペアが居たってそれはそれで不思議ではない。
それはどういうことなんだろう? 人間以外の世界では男と女しか居ないのに。
不思議なことばかりだよなあ。 そして不思議であればあるほど騒ぎたい連中がふっ付いてきて騒ぎまくる。
lgbtqの問題だって騒がなくてもよかったはず。 変に騒ぐから変な問題になっちまった。
そりゃね、珍しいやつが居れば最初は好奇心とか警戒心が先に立つだろうけど、いつの間にか消え失せて社会に馴染んでいるものだ。
それがさあ変な形で騒いだもんだから今だってlgbtqの人たちはすごく変な目で見られている。 それを差別だとか虐めだとか言ってまたまた叩くだろう。
だからダメなんだ。 lgbtなんて昔から有ったんじゃないのか?
当たらず障らずってのは言い過ぎかもしれないけどそうやって人たちは受け入れてきてたんだよ。 だから目立った騒ぎにもならなかった。
今はどうだ? 気に入らないとすぐに裁判を起こしたがる。
そしてやたらと賠償だ慰謝料だ何だって騒ぎ立てる。 だから国がおかしくなるんだ。
それが行き着くところは何か? カナダにまで行って「日本で差別されてます。」って難民申請をしたやつが居るよね?
ふつうに生活していれば自然と受け入れられたものを騒ぐから浮いてしまって日本に住めなくなったんだろう? 憐れというか愚かというか、、、。
だからさあ何でもかんでも騒げばいいってことにはならないんだよ。 今の人間にはそれが分からない。
だから大人になっても小学生並みの考え方しか出来ないやつが増えるんだ。 20年後の日本が恐ろしいね。
6時を過ぎた頃、綾子もやっと目を覚ましたらしい。 「おはようございます。」
「おいおい、夜だぜよ。」 「それでもやっぱりおはようございますです。」
「あっそう。」 「一郎さんはどうしてたんですか?」
「綾子ちゃんがコロコロ転がってるのを見ながら寝てたよ。」 「えーーー? 私ってそんなに転がってました?」
「ああ。 襖を殴ったり壁に突っ込んだりしてたよ。」 「それでか、、、何か痛いなって思ったんですよ。」
「夜飯はどうする?」 「どっかで食べたいな。」
「よし。 じゃあ食べに行こう。」 そこで俺は綾子を連れて外へ出た。
暗くなった夜道を二人で歩いていく。 ホームレスが屯している時間じゃなくて良かった。
あいつらがウロウロしていたら安心して出掛けられないからな。 んでもってバス通りへ。
仕事帰りのマイカー族が数珠繋ぎになって走っている。 大変だねえ 大人って。
俺たちは歩道を歩きながら店を探している。 表に出てくることってそんなに無いからなあ。
20分ほど歩いてやっと見付けたのはファミレスだ。 「ファミレスでもいいかい?」
「いいですよ。 なんか久しぶりだなあ。」 ジョンボーイっていうファミレスなんて知らなかったな。
中に入って空席を探す。 ウェイトレスが走り回っている。 親子連れが多そうだな。
見付けたのは窓際の38番。 テーブルの真ん中にドライフラワーが飾ってある。
「この店、初めて来ました。」 「俺もだよ。 いつもはあの食堂か居酒屋で食べてるからさあ。」
「そういえば今夜 お店は?」 「ああ、休みを貰ったよ。 綾子ちゃんの面倒を見てやれって言われた。」
「まあ、、、。 私の面倒を?」 「そうみたいだよ。 お似合いな子供だなって。」
「嫌だなあ。 私はもう、、、。」 「ご注文はお決まりですか?」
綾子の話を遮るようにウェイトレスが聞いてきた。 「そうだなあ、オムライスとチーズカレーを。」
「畏まりました。」 ウェイトレスが行ってしまった後、俺はホッとした顔で水を飲み干した。
「あらあら、一気に飲んじゃって。 お子様ですねえ。」 「こらこら、お子様は無いよ。」
「いえいえ、立派なお子様ですよ 私の。」 「まいった。」
と言いながら綾子もコップの水を一気に飲み干してしまった。 「負けてないなあ。」
「一郎さんの真似をしただけです。」 「変なやつ。」
「何か言いました?」 「何も言ってないよ。」
「変なやつって聞こえたんですけど、、、。」 (ゲ、聞いてやがった。)
聞こえないように言ったはずなのに綾子はちゃんと聞いていた。 「耳 良過ぎ。」
「毎日掃除してますから。」 「やられた。」
「私の勝ちですね?」 「負けたよ。」
「お待ちどう様でした。 ごゆっくりお召し上がりください。」 ウェイトレスが食事を運んできた。
「美味しそう。」 「食べよう。 たまにはこういうのもいいなあ。」
「一郎さんとファミレスで食べるなんて思いもしませんでしたよ。」 「そうかなあ? まあ俺は居酒屋の人間だからな。」
綾子はオムライスを頬張っている。 皿いっぱいのでっかいオムライスだ。
「そんなに食べれるのか?」 「私、子供の頃から大食いなんです。 痩せてるけど、、、。」
「痩せの大食いか、、、。」 俺はカレーを食べながら綾子の口元を見詰めている。
「恥ずかしいなあ。 そんなに見ないでくださいよ。」 「ごめんごめん。」
あの時、この唇にキスをしたんだ。 そんなことまで思い出してしまう。
レストランには次から次へと客が入ってくる。 タバコを吸い始める人も居る。
さすがにお酒は無いらしいけど、、、。 タバコの煙が流れてくると綾子は嫌そうな顔をする。
食べ終わると水を飲みながら「早く出ましょう。」って俺に言ってきた。 「分かった。」
のんびりしたい気持ちを抑えて財布を取り出す。 「俺が払っとくよ。」
「ご馳走様でした。」 ペコリと頭を下げる綾子は不思議にも可愛く見える。
(捕まえて良かったな。) 俺は初めてそう思った。



