「不思議なんだよな。新奈と一緒にいると、理性なんか吹き飛んでしまいそうに昂るのに、一方ですごく心が安らぐんだ。――矛盾してるだろ。俺の中で、火と氷がずーっとバチバチやってる感じ。変だろ」


それはきっと、ヴァンパイアだけに与えられた苦しみ、なんだろうな。


「ま、絶対勝つけどな。新奈とこの先もずーっと同じ世界で生きていきたいし」

「私も、ずっと慧くんと一緒にいたいよ」


でも――。

慧くんはこの先もずっと、それに耐えなきゃならないのだろうか……。

そう心配する私に、慧くんはいたずらめいた微笑を浮かべた。


「それに、このジレンマを乗り越える方法はあるんだ」

「え! ほんと? 聞いてないよぉ。そうなら早く言って欲しかったっ」


ずっと苦しまずにいないといけないんじゃ、と思っていた私には朗報だった。

でもひどいよ、どうしてずっと黙っていたの?