「ご、ごめん〜…っ!」
大勢の生徒の間を邪魔にならないようにすり抜け、美結ちゃんの元に戻った。
その時、伊吹くんの方にチラッと視線をやると、鋭い眼光がわたしを捉えていた。
「……っ、!」
まさか見られているとは思わなくて、ビクッと肩が震える。
だけど、いつまでも挙動不審ではいられない。
すぐに伊吹くんから目を逸らし、パッと美結ちゃんの方へ視線を投げた。
「へへ、ダメだったぁ〜。天馬様、彼女がいるんだって!」
「へ、へぇ〜」
「でもでもっ、彼女がいるから他の女の子とは話さないって、とっても素敵なことじゃない!?彼女さん羨ましすぎるー!」