美結ちゃんにわざわざこんな面倒くさいことをさせちゃうくらいなら、神楽様のことを怖がらずに講堂にいるんだった……。
「謝らなくていいの。彩夏が見つかって良かったんだから」
そう言ってわたしの頭をポンポンと優しく撫でた美結ちゃんは、心底安心したような顔をして笑っている。
美結ちゃんは初めて出会った高校の入学式の日から、本当にどこまでも優しくて思いやりのある女の子だった。
───ズキンッ。
大切な友達に、しかも親友に、ウソをついているわたしには心を痛める資格さえない。
たった1人の大切な友達にウソをつくのは、こんなにも苦しい。今すぐにでも、長年つき続けてきたウソを、隠し続けてきた秘密を、打ち明けてしまいたい。
「……彩夏?どうした、体調悪い?」
「…!う、ううん。大丈夫だよっ」
ぼーっとしてたから、また美結ちゃんに心配されちゃった……。いつも通り元気でいないと。
わたしは気を引き締めて、「講堂に戻ろう」と言って、美結ちゃんと歩き出した。
終始心配顔の美結ちゃんだったけど、わたしが元気そうなのを見て安心したような顔をして目を細めていた。



