冷酷総長は、彼女を手中に収めて溺愛の檻から逃さない。



でも、おれたちが呼ぶ情報公開法は、日本のとは全く違う。日本の情報公開法とは、行政機関が民間人に公開していない情報を公開する制度のこと。

そしておれたちの言う情報公開法は、“己の個人情報全て、この飛鳥馬家が統率してきた霜蘭花に開示しなければならない”ということ」



おれが今言ったこと、理解してくれた?と微笑む飛鳥馬様。と、言っていることの意味を理解する以前に恐怖でどうにかなってしまいそうなわたし。


こ、こここ怖い……っ。怖すぎる…ぅっ!!今すぐ逃げたい。逃げた方がいい。早く、逃げなきゃ……っ。



「わ、わたし……っ、もう失礼いたし…」

「──七瀬彩夏。これが、君の名前だね」



その口から発せられたわたしの名前が脳内で反響したようにおどろおどろしく響く。背を向けて走り出そうとしたわたしを引き止めるには十分だった、その静かすぎる声。


瞳が限界にまで見開かれていく。


喉がギュウギュウと締め付けられるような痛みがする。心臓がドクンドクンと大きな鼓動を立てて、痛いくらいに鳴り響く。


飛鳥馬様が今言っていたことは、デタラメなんかじゃ、なかった……。


わたしを陥れようとするウソでも、罠でもなかった。


わたしの個人情報を全て知っている。それが何を意味するのかはもう分かっていた。