冷酷総長は、彼女を手中に収めて溺愛の檻から逃さない。



その質問に答えようとしたけれど、それ以前に飛鳥馬様を目の前にした恐怖からか喉が締められる感じがして、声が出せない。



「……本当に、どうして君は何度も何度もおれの前に現れるのかな。───…もう、忘れようとしてたのに」

「ぇ……、?」



すぐ近くにいるわたしにさえ聞こえない弱々しい声で吐き出された最後の言葉。それが何なのか分からなくて、思わず声を上げた。


それに、唯一聞き取ることが出来た飛鳥馬様の最初の言葉を、そっくりそのままお返ししたかった。


もう会うこともない。だから怖がる必要はない。


路地裏で飛鳥馬様と再会したあの日から、わたしの頭はその言葉で埋め尽くされていた。


それはわたし自身をどうにか安心させる呪文のようなもので、もう夜の世界の人間と偶然にでも出会いませんように、と毎日心の中で祈っていた。


それなのに、なんで……、このお方は何度も何度もわたしの目の前に現れるの……っ。



「──あ、そういえばまだ君の名前を聞いてなかったな。名前、なんて言うの。おれに教えて?」

「……っ、」