冷酷総長は、彼女を手中に収めて溺愛の檻から逃さない。



わたしがいる踊り場は廊下からは死角になっていて、太陽の光が入る窓が1つもないせいかどこか薄暗い。


息を整え、俯けていた顔を上げようとした、その瞬間。



「───あれ?なんで君がこんなところに……」



それは、何の前触れもなく、突然わたしの目の前に舞い降りた、ただの偶然───。


甘く低い色気ある声。綺麗な靴の音を立てながらわたしの方へゆっくりと近づいて来る軽い足取り。


その人物の姿を見なくても感じる、この世の誰も持ち合わせていない威圧感と、圧倒的な麗しき空気感。



「……あすま、様……ッ」



そのお方が姿を現すだけで、辺りが静寂に包まれて、この世のものとは思えない浮世離れした神聖な空間が、出来上がる。



「はは。前みたいに強気な君はもういないの?」

「……ぁ、」



その言葉に、思わず肩がビクリと震える。


飛鳥馬様、やっぱりわたしのあの時の態度に、怒っていらっしゃる……っ!?