冷酷総長は、彼女を手中に収めて溺愛の檻から逃さない。



気さくに話しかけてくれた神楽様も、わたしたち庶民との交流会には多少思うところやひっかかるところがあったのだと知ると、少しだけ気分が落ち込んでしまう。


庶民なんかと、まるで対等であるかのように最初に話しかけてくれた神楽様に、身勝手な願望を抱いてしまったのかもしれない。


段々と神楽様から視線がズレて、俯こうとしたその時。



「だけど、この会が開かれてよかったって思えた。君みたいな可愛くて美しすぎる女の子に出会えたの、これが初めてだから」



わたしをからかうような楽しそうな声音で、そんな甘い言葉が耳元で聞こえた。


神楽様の顔がわたしの顔のすぐ近くにあって、耳元に寄せられた形の良い唇から発せられた甘い声に、驚きで頬が真っ赤に染まってしまう。


えっ、えっ……??


わたし、が可愛い……?聞き間違い、だよね!!?


この甘すぎる空気から今すぐ逃げ出したいのと、どこかから伊吹くんがこの様子を見ているんじゃないかという恐怖心がわたしを煽る。


し、失礼に当たるかもしれないけど、今すぐ神楽様から離れないと……っ!



「か、神楽様……っ、わたし、お手洗いに行って参りますっ!」