冷酷総長は、彼女を手中に収めて溺愛の檻から逃さない。



あの時は突然キスされたことへの驚きと、あちら側に非があるのだから少しでも歯向かいたい気持ちに身を任せて強気な態度を取っていたけど、相手は雲のそのまた上の存在。


わたしなんかとは比べ物にもならない地位と権力、そして強者特有のあの獣のような中性的な漆黒の瞳。


きっと自分勝手のキスをされても、決して怒りを露わにしてはいけない相手。


理事の開会の言葉が終わり、2000人の生徒が上質な漆塗りの長椅子に並んで座ってもなお窮屈さを感じさせない講堂は、日本で1番ドでかい建物として全国にまで知れ渡っているほど。


講堂の中心の天井に取り付けられた金色に光り輝く立派なくす玉が割れ、講堂は一気にカラフルな紙吹雪に包まれた。


そしてくす玉の中から垂れてきたあれは……、懸垂幕(けんすいまく)


垂れ幕とも言われる、何かの大会で功績を収めた時などに校舎の壁にデカデカと張り出される“あれ”のこと。



「祝 ご令嬢ご令息方と一般の交流会……」



紙に印刷された大きな文字を目で追って読んでいく。わたしたちのことを“庶民”や“一般人”と表さないのを見ると、理事の性格の良さが(うかが)える。


わたしたちのことまで配慮してくれるなんて、心の広い方だなぁ……。