西条 嶺司、36歳。異例の若さでこの高校の理事長に赴任したとして有名な、とにかく普通じゃない人。
一部の界隈では、この国の中枢である総理大臣とも深い関係にあるとか、日本の政治に関わっているだとか……。
普通じゃない人というより、とにかくヤバい人と言った方がしっくりくるような……いやでもそれは失礼に当たるよね…っ。
そんなことをぐだぐたと考えながら、もう一度だけ豪華で広すぎる講堂の1番前の教卓の前にいる理事を見やる。
ほんと、綺麗な顔してるんだよなぁ……。
雪の結晶よりも透き通った白い肌に、知性を感じる切れ長の瞳。すっと通った鼻筋に見合う高い鼻に、大人の色気とやらを感じさせる唇。
気品を感じさせるそのお顔は、“あのお方”を連想させるようなもので。
眺めていると、あの朝キスをした時の唇の感触を思い出してしまいそうで、わたしは俯いた。これ以上、あの方のことを思い出したくない。



