美結ちゃん、本当に乙女だなぁ……。
こんなこと言ったら、美結ちゃんに軽く怒られてしまいそうだけど。
「も〜、からかわないでよ彩夏…!」
綺麗な茶色にブローチされた美結ちゃんのポニーテールが小さく揺れる。いつも下ろしているだけで巻いてもいないわたしの黒髪とは大違いだ。
恥ずかしそうに毛先をくるくると指に絡めながらわたしを可愛く睨んだ美結ちゃん。
本当に、美結ちゃん以上に可愛い女の子がこの世に存在するのか疑わしいところだよ……!
「ごめんって〜。ところで美結ちゃんは誰かお目当ての方はいるの?」
「…うーん、それがさぁこの東宮内に通ってるご令息方の名前さえ知らないの……!みんなそうだと思うんだけどね〜」
確かに、それもそうだ。
伊吹くんという存在のせいで、うっかりしていた。普通みんなはこの高校に通う御曹司の中に誰がいるかということさえ分からないのに……。



