───わたしは、最低だ。1番大好きで、大切なはずの伊吹くんに、決してついてはいけないウソをついた。
自分が分からなくなっていく。ウソをつくって、こんなにも気持ち悪いことなんだ。吐き気がして、わたしは咄嗟に口元に手をやった。
「彩夏……?大丈夫、」
「だ、大丈夫!ほら、何もない」
口元に持っていっていた手を離して、降参のポーズを取る。そんなわたしを伊吹くんは訝しげに見つめたけれど、それ以上何かを言ってくることはなかった。
わたしはこれで、このままで、本当に幸せになれる……?
そんな疑問は虚しく、誰にも聞けるはずなく夕闇の中に溶けていった。
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6月2日。交流会、当日。
「やばい〜っ!緊張してきた、てか3日ぐらい前から緊張続きっぱなしだったよー…っ」
「ふふっ。美結ちゃん、かわいい〜」
両手を真っ赤になっている頬に当てて、さっきからソワソワとしている美結ちゃんを隣で見ながら、癒やされる。



