冷酷総長は、彼女を手中に収めて溺愛の檻から逃さない。



「好き、大好き。もう彩夏なしじゃ生きられない。ほんと、好き」



そう呟く伊吹くんの腕の力が強くなって、さっきよりもきつく抱きしめられる。



「うん、うん」



わたしは伊吹くんの言葉ひとつ1つを受け止めるように、小さな子をあやす時みたく優しい声音で頷いた。


伊吹くんからもらう「好き」って言葉が嬉しい。毎日愛を伝えてくれる伊吹くんの気持ちに、わたしも同じくらい応えたい。


……だけど果たして、伊吹くんがわたしを想ってくれているくらいの気持ちをわたしは伊吹くんに返せるの?


ふと浮かび上がった疑問に、咄嗟にマズいと思った。


消さなきゃ、この疑問を。はやく、早く頭の中から消さないと……っ。



「……彩夏も、俺と同じ気持ちでいてくれてる?同じくらいの好きって気持ちを持ってくれてる?」



もう、手遅れなのかもしれない。


わたしは分かってしまったんだ。さっき脳裏に浮かび上がった率直な疑問に、伊吹くんのその質問に、気づかされた。