寂れた公園のベンチに座っていたのは、紛れもなく麗仁くんで……。


寒そうに肩を縮こませながら、来るかもわからないわたしを待ってくれていた。


本当に、ずっと待ってくれていた……。


胸の奥から、何か熱いものがこみ上げてくる。

それは、一気に弾けて、わたしの足を刺激した。


一目散に再び駆け出したわたしは、そのまま麗仁くんの背中に勢いよく抱きついた。


「っわ……!」


大好きな人の低音が、心地よく耳に響く。

目をまん丸くさせて驚く麗仁くんがこれ以上ないほどに愛おしくて、わたしは抱きしめる腕の力を強めた。


「麗仁、くん……っ。ごめんなさい、遅くなって」


肩に回したわたしの腕に、麗仁くんの手が触れる。


麗仁くんはしばらく何の言葉も発さないで、呆然としているようだった。


「……、本当に、来てくれたの」

「…え?」