冷酷総長は、彼女を手中に収めて溺愛の檻から逃さない。



「はぁ、はぁっ、はぁっ……、!」


どこまで走っても公園が遠のいていくように感じた。


足がほつれて、もたついて、上手く走れないのがもどかしい。

気が立って今にも叫びだしてしまいそう。


走りながら、わたしの脳内には走馬灯のような風景が物凄いスピードで流れていた。


そう言えば、あの日初めて夜の世界に足を踏み入れた時も、麗仁くんに助けられた後こんな風に走って家まで戻ったことがあったな……。


麗仁くんの眩しい笑顔。

幼くて、誰よりも純粋に思える透き通った笑顔。


その瞳はいつも冷たさを宿しているのに、わたしを見つめる目にはいつだって熱が籠もっている気がした。


思い出して、胸がキュッと狭くなる。


視界の中に公園が映って、ある後ろ姿を目に入れた時、わたしはハッと息を呑んだ。