冷酷総長は、彼女を手中に収めて溺愛の檻から逃さない。



壁掛け時計を見れば、今の時刻はもうすでに23時を回ってしまっている。


どうしよう……っ、こんなことになるなんて。

今は夏とはいえ、夜になったらさすがに冷え込む。


それなのに、麗仁くんはまだわたしを待っていたりするのだろうか。

公園のベンチに1人、ぽつんと座って来るかどうかもわからないわたしを待つ麗仁くんの姿を想像して、目に涙が浮かぶ。


わたしは、その痛みを誰よりも知っているから──。

だから、麗仁くんに同じ思いをさせたくない。


なんて、もう色々と遅すぎるのかもしれないけれど。


待ってて、麗仁くん。

わたし、もう逃げたりなんてしないから。


だから、どうかもう1度、君と向き合うチャンスをください───。