やめろ、そんな同情した目でおれを見るな。

口からは、乾いた笑いしか出てこない。


『……それは、治療でどうにか出来るほどのものか?』

『……難しいかと、思われます』

『はぁ〜……、そう』


もう、何なんだよ。

どうして今になって、再発なんかしたんだ。


───もっとしっかりしろよ、おれの心臓。


拳を心臓に力強く当てた。

そこで、昔のことが思い出される。


……そう言えば、あやちゃんと出会えたのは、この病気のおかげだったっけ。


心臓病なんかを患ったおれは、誰からも愛されない。


そんなお荷物を、わざわざ婚約者にと選ぶ家は1つもない。


幼い頃から東ノ街を統べる皇帝という立場にいたおれだったけれど、名家からの求婚などは一切なかった。