トンッ───

それは突然だった。


「誰の口が穢らわしいって?返答次第ではおれはお前を殺す他ないぞ」


肩に回ったたくましい腕の正体を、わたしは知っている。


「…ひぃっ、お、お許しください飛鳥馬様!!」

「答えになっていないぞ」


その影を捉えた瞬間、地に足を付けてガクンと無様に土下座した見張り役の男。

さっきまではあんなに威勢が良かったのに、今は別人のように見える。



「あやちゃんってね、おれの中で世界一大切で大事にしたい女の子なの。そんな子を穢らわしいだって?……、ふざけるのも大概にしろ」



麗仁くんは、見張り役の必死の乞いも耳に入れることなく、一蹴した。

さらには、スーツのポケットから拳銃を取り出す始末で。