冷酷総長は、彼女を手中に収めて溺愛の檻から逃さない。



どんどん不安になってくる。

このまま麗仁くんがずっと目を覚まさなかったらどうしようって……。


そうなったらわたし、もう2度と自分を許せない気がする。いっそ麗仁くんの後を追って死んでしまおうか───なんて恐ろしいことを考えている自分がいる。


「ん、……」


そんな中、静まりきった病室に麗仁くんの声が漏れたから。堪えていた涙が、堰を切ったように一気に溢れ出した。


「麗仁、くん……っ!」

「飛鳥馬様──!」


わたしと仁科さんの切羽詰まった声が重なる。



「んん、……うるさ」


ゆっくりと瞼を開けて、虚ろな瞳で真っ白な天井を見つめる麗仁くんが放った最初の言葉。


そんな言葉でも、声を聞けただけで嬉しくて。