冷酷総長は、彼女を手中に収めて溺愛の檻から逃さない。



「……っ、別に何も言ってないから」


だけど、相手にはわたしの声が届いたみたいで。

耳を真っ赤に染めて、顔から腕を離した神楽様が、綺麗なお顔を歪めてわたしを睨んできた。


「ええっ……!」



ど、どうしてここで睨まれるの……っ。わたし、何か気分を害すことでも言っちゃった?

と、とりあえず謝っておこう!


「ご、ごめんなさい……」

「ほんと、さっきからタイミングおかしくね?なんで謝るんだよ」



威圧的な声に、ギュッと目を瞑る。

前よりも話しやすくなったとは言え、神楽様自身が恐ろしい存在であるのには変わりない。


「うぅ、ごめんなさ…」

「ほら、また謝った。……もう謝んの禁止ね」



ごめんごめん言われたら気持ち悪くて吐き気がする、なんて酷い言葉を吐いて。


神楽様はわたしに背を向けて歩き始めた。