冷酷総長は、彼女を手中に収めて溺愛の檻から逃さない。



人に頼るということを知らないわたしには、そんな考えしか浮かんでこなかった。


「……か、彩…。あやか、起きて」


いつの間にか夢の中にいたわたしは、優しい声とともに弱い力で肩を揺られて。

朦朧とする意識の中、ゆっくりと目を覚ました。


まず1番に視界に見えたのは、真っ白な天井。

ここは一体、どこだろう……。


ぼんやりとしていて働かない脳で考えようとしても無駄だ。しばらく視線を彷徨わせていると、だんだんと視界がはっきりとしていき……。


ここがお父さんの病室であるということが分かった。


「ん、……」

「……っ、!彩夏、起きたか」



耳元のすぐ近くで、お父さんがほっと安堵する声が聞こえる。

視線をそっと横に投げると、そこには上半身を起こしてわたしを見下ろすお父さんがいた。


わたし、お父さんのベッドで横になってたんだ……。