冷酷総長は、彼女を手中に収めて溺愛の檻から逃さない。



西ノ街の皇帝であるはずの俺を恐れていないどころか、俺よりも随分と余裕を持て余しているその姿に、イラ立ちが募る。



「はは、お褒めの言葉をどーも」

「…(イラッ)褒めてないから」

「相変わらず短気だね。そんなんで皇帝が務まるのか心配だなあ」



ニヤッと唇の端を上げて、ムカつくほど綺麗に整った顔を悪役のように歪ませる飛鳥馬麗仁。

……ほら。これがこいつの本性。



「……、それより、お前はどうしてここに?」

「……、それ、おれが聞きたいことなんだけど」



お互いどちらとも据わった目で相手を睨みつける。

その瞳の奥には“お前は邪魔だ。今すぐ消えろ”という感情が隠れることなく見えていて、譲らない性格が見て取れる。



「おれは“彼女”を家まで送り届けに来たんだ」



案外相手が正直に答えたことに、俺は目を見開いた。

ウソを言っているようには見えない。


───だけど、どうしても信じられない。