『……それ、実は母さんの手作りなんだ。けど、男がそんなもん持ってるのって、かっこ悪いだろ──『…っ、かっこ悪くなんてないよ!!』
その時は、言葉を遮られたのと、彩夏の気迫が何だか凄くて、俺は情けなくもポカンとしてしまった。
今までずっと、他人にはしてこなかった自分の話。
もうこの先関わることもないんだろう……、とどこか残念に思いながらも、この子の反応がもっと見たいっていう衝動に駆られて、俺はいつもより数倍口数が多くなったんだ。
『……え、?』
『すごく、凄く、素敵なことだよ……っ。このハンカチ、あなたのお母さんが作ってくれたんだよね。いいね、いい、なぁ…』
キラキラとした瞳で、自分の手の中にある俺のハンカチを見つめる彩夏。だけど、そう言った声が掠れていたのは、俺の聞き間違いだったのだろうか。
彩夏は俺の手を優しく掴んで、そっとその桜色のハンカチを手渡してくれた。
『ありが、とう』



