冷酷総長は、彼女を手中に収めて溺愛の檻から逃さない。



温かな温もりに包まれた。わたしの背中に回された腕が、わたしを離さないとでも言うようにぎゅうっと力が強められる。



「……彼氏がいるのに、イケナイ子だね。おれに抱きしめられてるのに、突き放さないなんて」

「……っ、〜〜!」

「…それとも、おれにこうされるの、いやじゃない?」



わたしの肩に顎を乗せて、甘えたように頬をすり…、と掠る飛鳥馬様。

低い低音ボイスが、耳のすぐ近くで響いて甘く痺れる。



「………っ、ぇぁ」



口元から漏れる、聞いたことのない甘すぎる声。

自分のものとは信じ難くて、目に涙が浮かぶ。


恥ずかしい、恥ずかしすぎるよ〜〜!


一向に反応のないわたしを不思議に思ったのか、飛鳥馬様が「あやちゃん……?」と不安そうな声音で顔を上げた。

その時───



「え……」

「…〜〜いっ、今は見ちゃだめ……っ!」