「ロイド様・・・」

私は何故か涙が溢れそうになるのを、何とか堪える。

ロイド様が私を離し、私の頬に手を当てる。


「君は私の婚約者だ」


ロイド様の顔が私に近づく。

私は怖くなり、目を瞑《つぶ》ってしまう。

しかし、ロイド様は私と寸前まで顔を近づけたところで止まる。

私がそっと目を開けると、ロイド様は苦しそうな顔で私を見つめていた。


「ティアナ、どうか私を愛していると言ってくれ」


ロイド様はそう仰ると、私の頬に口づけをした。


「愛しているよ、ティアナ」


そう仰って、ロイド様はテラスを出ていかれる。

私の頬には、涙が一粒こぼれ落ちた。


リアーナの入学は、もう目前まで迫っていた。