お茶会が終わり、その日の夜はぐっすりと眠ってしまった。

また懐かしい夢を見る。


「ティアナ、君を守るためならば、私は・・・・」


「君にもっと愛を伝えておけば良かった」


「ティアナ、いつまでも愛しているよ」


婚約破棄の一ヶ月前。

風邪で体調を崩して寝ている私を訪れたロイド様に、朧《おぼろ》げながらもそう言われた気がした。

いいえ、気のせいね。

ロイド様がそんなことをおっしゃるはずがない。

きっと熱でうなされた私が見た幻覚だわ。


だって、貴方は結局私を愛してなどいなかったのだから。


分かっているはずなのに、胸が痛むのは何故でしょう?

その日の満月は、私の気持ちとは裏腹《うらはら》に美しく輝いていた。