「私が求めているロイド様からの愛も、お父様からの愛もお姉様は全て奪っていくの。平気な顔で」

「私の欲しいものを奪うお姉様なんて大嫌い・・・だから、奪い返してもいいでしょう?」


リアーナが昔のような可愛らしい愛嬌のある笑顔を私に向けた。

そして、床に散らばる割れた花瓶に手をかざした。

淡い光に周りが包まれ、花瓶が元通りに戻る。

リアーナが、自身の能力を使ったのだ。

リアーナは今まで「無能の聖女」と呼ばれる自身の能力を疎《うと》み、あまり使って来なかったので、リアーナが能力を使っている所を見るのは久しぶりだった。


「壊れたものは、元通りに戻しましょう?」


そう述べて、微笑むリアーナはまさに「聖女」であった。