「どうしたらいいの・・・!」
そう自室で叫んだ私を、ネルラが心配そうに見つめている。
「ロイド様は、最後までティアナ様の同意を得てからにして欲しいと頭を下げたようです。しかし、王家全体での決定を覆すことは出来ず・・・」
「分かっているわ」
ロイド様は私の気持ちを無視して、正式に婚約を結ぶことなどしない。
前回の人生では、正式に婚約を結んだ時にロイド様と初めて顔合わせをした。
そして、初対面の私にロイド様はこう仰った。
「これは王家が決めた婚約だ。覆すことは出来ない。・・・しかし、すまない。王家とフィオール家の繋がりのために、君の気持ちを聞かずに決断した。どうか、許して欲しい」
そう仰り、王族でありながら私に頭を下げたロイド様に私は心を奪われた。
まさに一目惚れだったのかもしれない。