「否定されないということは、嫌いではないようだね。・・・ねぇティアナ嬢、何故私が君に興味が沸いたと思う?」

「え・・・?」


「あのカフェでリアーナ嬢と談笑している時、君は殆《ほとん》ど話していなかったんだ。聞き役に徹してね。君は自分から話すことが得意ではないのかと思っていた。しかし、君は妹を守るために矢面《やおもて》に立った。・・・そんなの格好良いと思わない方が無理だろう?」

「王族をしているとね、自分の話をしてくるやつばかりなんだ。だから、ティアナ嬢になら私の話を聞いて欲しいと思った」


ふと、前回の人生でロイド様が私に仰った言葉を思い出した。


「ティアナ、君は私の話をいつも楽しそうに聞いてくれる。それがどれほど私の支えになっているか知らないだろう。・・・しかし、私はティアナの話も聞きたいんだ。だって、婚約者なのだから」


そう仰っていたロイド様は前回の人生でも、リアーナを選んだ。

ロイド様の本心が分からない。

しかし、今目の前にいる8歳のロイド様が嘘をついている様には見えなかった。