「ロイド殿下がお見えです。客間にお通ししますか?」

執事長がそう問うた。

街でロイド様に「また会いに行ってもいいか?」と問われた時に、一線を引いたことはロイド様も気づいていただろう。

まさか本当に会いに来るなんて・・・

しかし、王族でいらっしゃるロイド様を出迎えないわけにはいかない。

私が困っていると、リアーナが勢いよく立ち上がった。

「私が出迎えますわ!客間にお通しして頂戴!」

「リアーナ・・・!?」

「お姉様はお忙しいでしょう?私が要件を聞いて参りますわ。・・・勿論、何かあったらお呼び致します!」

ここはリアーナに任せても良いのだろうか?

しかし、今回の人生での一つの目標は「ロイド様に近づかないこと」。

「そうね。・・・では、リアーナに任せても良いかしら?」

「はい!」

リアーナが元気よく返事をして、部屋を飛び出して行った。


「これで良かったのよね・・・」


何故、自分がそう呟いてしまったのか、私には分からなかった。