街に出掛けた夜、懐かしい夢を見た。


「ティアナ、君は私の秘密など知らなくていい」


前回の人生で婚約破棄された卒業パーティーの前日。

ロイド様は、会いに行った私に何故か悲しみを浮かべた顔でそう述べた。

一体ロイド様が何を考えていらっしゃったのかは分からない。

しかし、ロイド様のあの顔を忘れることなど出来なかった。

ロイド様も何か秘密を抱えていたのだろうか。

「いいえ、今の私には関係ないことだわ」

私は目を瞑《つぶ》り、もう一度眠りについた。