その後すぐ大学で
期末テストがあったが
理緒はいつも通りに
280名中4位の成績を
キープしていた。
入院している最中も
理緒は勉強を
怠ることはなかった。
そしてようやく
バイオリン教室にも
行けるようになった。
バイオリン教室に行くと
桜田先生が心配していた。
「3ヶ月間、
大丈夫でしたか?
心配してましたよ」
とレッスンの前に
声に声をかけてくれた。
理緒はいつも通り
「大丈夫です」
と告げて、バイオリンの
レッスンに入った。
今日も理緒のお気に入りの
パガニーニのレッスンだった。
60分のレッスンが終わり
桜田先生は
「あなたのバイオリンは
本当に素晴らしい
休んでいたと思えないぐらい
素晴らしいです」
そう満足気に伝えた。
そして
「あなたに少し
考えてほしいことが
あるのですが…
私のオーケストラへ来ませんか?」
「え?私なんかが
宜しいのですか?」
「小さなオーケストラですが
もう50年もやってる
オーケストラです
あなたを第2バイオリンとして
迎えたいと思っています」
桜田先生にそう言われ
「是非!」
と、理緒は目を輝かせた。
翌週、理緒ははじめて
大きなホールで
オーケストラの練習に参加した。
第2バイオリンの1人が
「あなたが理緒さん?
こちらにどうぞ 」
と、どこに座っていいか
分からないでいる理緒に
席を用意してくれた。
バイオリン、ビオラ、
チェロ、オーボエ、クラリネット
ピアノ 、ホルンなど
ありとあらゆる楽器の
演奏者がそろっている。
皆それぞれ、音の調整を
しながら、練習をしている。
理緒も音出しをした。
そして桜田先生が入ってくると
皆、静かになり
コンマス起立し
オーボエがAの音を出す
そしてコンマスが
オーボエに合わせA線チューニングを行い
オーボエに合図し、
音出しをやめた。
コンマスがAを出し、
低弦から順に音を重ねていって
弦楽器がチューニングし
Aが弦楽器全体で合ったらとき
コンマスが着席した
弦楽器は各々隣の弦を調弦し
管楽器が木管と金管の順にAを合わせる
理緒もそれに合わせた。
今日はモーツァルト交響曲第25番だ。
「では第1楽章から行きましょう」
全員、楽器を構えた。
そして指揮に合わせて
オーケストラのレッスンが始まった。
理緒は、何とか、
ついていけた。
それが幸せだった。
だが桜田先生が理緒に
違和感を感じていることなど
理緒は全く気づかなかった。

