放課後、君のとなりで

「朝倉さんってさ、あんまり愛想ないよね」


そんな私に、初対面にも関わらず遠慮ない暴言を吐いてきた相馬君。


「それは悪かったわね。生まれつきなんだから仕方ないでしょ」


人に頼み事をしておいて、よくもまあ横柄な態度がとれるもんだと、私は苛立つ気持ちについ声色が低くなってしまった。


「それで、また話が逸れちゃったけど……。探して欲しい物はくまのぬいぐるみのストラップなんだ」


相変わらずこっちの心境なんてまるで無視の相馬君は、何食わぬ顔でさらりと本題へと話を戻す。


そして、その内容に私は一瞬目が点になった。



「……はっ?今なんて?」


全くもって予想を大きく反した回答に、聞き間違いかと思い、もう一度聞き返してしまう。


「だから、くまのぬいぐるみのストラップ。今話題のハピネスベアーってやつだよ。知らないの?」


しかし、それは聞き間違いでも何でもなく、しかも、終いには人を小馬鹿にした態度を取られた始末。


本当にこの相馬悠介という奴は何なんだろうと、再びふつふつと怒りが沸き起こり、段々と眉間にシワが寄り始める。


「知ってるわよ。持っていると願いが叶うっていうふざけた代物でしょ」


だから、私はここぞとばかりに嫌味をたっぷり含めて、ぶっきらぼうにそう答えた。