結局、一杉君には何の処分も下されなかったらしい。

夏帆から聞いて分かったけど、文化祭が終わった休み明けには、彼は普通に登校していたらしく、相変わらずあの事件の事は誰も知らない。

確かに、教師達に見つかった時は一杉君は私から離れていたし、私の服もそこまで乱れていなかったので実際襲われていた証拠がない。

それに、一杉君のお父さんは有名な政治家だ。
息子の失態は何としてでも隠し通したいはず。

だから、きっとあの手この手を使って学校をいいように丸め込んだのだろう。

だから、私も親や夏帆にも最後まで話すことはしなかったし、警察沙汰にもしなかった。

凄く話しづらいし、もう二度と思い出したくないし、話してもきっと学校と同じように丸め込まれ、示談で済まされるのがオチな気がする。

後は家族や夏帆との間で気まずい空気が残るだけなので、本当は良くないというのは分かっているけど、私は誰にも話すことが出来なかった。


でも、一杉君の親も親で、学校も学校だ。
このまま私が騒がないのを良い事に、一杉君の方からはなんの謝罪もなく、学校のフォローもない。あの事件には一切触れることもなく、有耶無耶に流すつもりだ。

これが正に泣き寝入りというやつなんだろう。

悔しさとやるせなさに気持ちが押しつぶされそうになるけど、それも全部相馬君の意識が戻ったいう事で、私もあの事件は極力忘れることにした。