放課後、君のとなりで

反論はできない。


確かに、人を好きになる気持ちはどうしようも出来ないし、彼は筋を通そうとしている。


凄く冷たい言い方だけど、どんなに愛が重くても、そこで冷めてしまえばその人にとって相手の魅力は所詮そこまでという話。




……それはそうなんだけど。



正直、ここまで人に好意を持たれる事は初めてで、それに対して胸の高鳴りを誤魔化す事は出来ない。


校内一モテる人に好かれるなんて今でも信じられない。


でも、色々あり過ぎて、相馬君のやるせなさと、瀬川さんのやるせなさがごっちゃになって、私の心はもう訳が分からない。



「ねえ、なんで私なの?私、一杉君とはあんまり喋ってなかったし、なんで急にそんな事言うの?」


可愛くないのは重々承知の上。


ていうか、別に可愛いさなんてアピールするつもりはさらさらない。


だから、私は恥じらう素振りも見せず、真顔で単刀直入に一杉君に尋ねた。


すると、そんな私の態度がよっぽど意外だったのか。


一杉君は目が点になって固まってしまったが、暫くすると急に吹き出し、口元を抑えて小さく笑い始めた。


「やっぱり朝倉さんって面白いね。自慢じゃないけど、俺にこんな反応を見せる子初めてだよ」
 


……はっ?


めちゃくちゃ自慢じゃん。


それに自惚れてるし。


てか、やっぱり面白いって何?


仮にも私に告白してくれた人ではあるが、混乱しているのとタイプではないせいか、心の中で捻くれたツッコミがこれでもかというくらいに出てくる。


確かに、これ程の人にこんな事言われれば他の女子は泣いて喜ぶのかもしれないけど。やっぱり私の中で彼は苦手な部類の人だ。


そんな心境を隠しきれず、気付けば私は一杉君をジト目で眺めていた。


「そんな目で見られるのも新鮮だなあ。とりあえず、きっかけは君を保健室に連れて行った時かな。不謹慎なのは分かってるけど……その時の君の寝顔が綺麗で君に触れている間何かドキドキしたっていうか。ある種の一目惚れってやつ?そこから忘れられなくて」


相変わらずの余裕な表情を見せるものの、照れは隠せないのか。


決まりが悪そうに胸の内を明かすと、一杉君は頬を掻きながら私から視線を外す。