「……って、かわいすぎる寝顔だよ写真撮っていいかな盗撮していいかなもう」



私はそのとき、どうやら意識を手放しちゃったみたいで。


気づいたときには、バスのなか。
おでこに冷えピタ、身体中にブランケット。

そして停車したバスの外から聞こえてくる、とある男の子の叫び声。



「イっテェェェ…!!なんでだよティーチャー…っ!!教育が脳筋すぎんだよ……!!このみちゃんは無事に運びましたけど…っ!?」


「お前のスマホはなんのためにあるんだ結多。班長にも連絡しないで、どれだけ心配したと思ってんだ。病人がいたなら尚更だぞばかやろう」


「いやっ、さすがに太陽と蟻の世界築いてたから無理…っ、つーか蟻ってなんだ!!そんなん言ったら蟻の可愛さを推すぜ俺は…!!
聞いてくれティーチャー俺はなっ、そんな新世界の王になろうと───いてえ…!!まじっ、ギブッ、ギブギブ……っ!!」



雨が上がった空の下。

私の初恋の男の子が、担任教師に拘束技を決め込まれていました───。