らしいです。

理解しなくていいんだって。

する必要がないんだって。
むしろしちゃ、ダメなんだって。


その日の1限から、さっそく結多くんは机を隙間なくピタリとくっつけて、真ん中に私の教科書を置いた。



「やべえ、くそ幸せ。ここは天国ですか。もしかして天国にいるんですかわたくし」


「ゆ、結多くん静かにね」


「はあい」



コツン、とぶつかる肩。

たまたまかな?と思ったのは、1限のときだけ。


2限からは“たまたま”という概念を消してくるほど、コツンコツンとぶつかるどころか、常にピッタリと。



「このみちゃん、このみちゃん」


「ど、どうしたの…?」


「俺たちの肩、いっそのこと接着剤でくっつけたほうが早いのではなかろうか」


「…………」



なにが早いの、結多くん。
これも結多くんの迷言集に登録だ。


正直、落ち着かないのは私だった。

男の子とこんな距離感で長い時間を過ごしたことなんかない。