「レ、オ……どうした、の?」

レイナの心配そうな顔をみて、僕は慌てて笑顔を取り繕う。

「あ。いや、なんでもないんだ。食べよう」

「う、ん」

「いただきます」

「いた、き……ます」

二人で手を合わせて箸に手をかけたときだった。

レイナが、カシャンと箸を落とすと、ピタリと動きを止めた。

「あっ……」

僕は声を上げると慌ててレイナに駆け寄り、レイナのブランドの長い髪をかき上げると、点検用のカバーである右耳を引っ張って中を覗き込んだ。

(また回路のショートか)

レイナが、人型AIゼロタイプとして亡き両親が開発したのは、もうかなり前の事だ。