「では続いて、被告である王妃様の供述を聞きましょう。」
クヴァシルに促され、
法廷中の視線がフレイアに注がれる。
フレイアは恐怖で喉が張り付き、
声が上手く出せないでいた。
それでもただ一人自分に温かい眼差しを向けてくれる
オーディンの瞳を見つめると
お腹の底から力が湧いてきた。
「まず最初に申し上げたいことは、
ビフレスト国民の多くが苦しんでいる今回の事件に関して、
私は一切関与しておりません。」
フレイアの第一声に法廷が若干ざわめき出すが、
クヴァシルの右手がそれを封じる。
「王妃様、続けてください。」
「はい、裁判長殿。
ことの始まりは、私に仕えてくれていた侍女のトゥーラが
アスフォデルスの蜜酒を私への誕生日プレゼントを用意してくれたことでした。
トゥーラが贈ってくれたアスフォデルスの蜜酒は、
私が晩餐会や故国で目にしたそれとは見た目が異なっていました。赤みが強いのです。
話を聞くと、蜜酒にはいくつかランクがあり、安価なものになるにつれて赤みが増すとのこと。
私はこれに違和感を抱きました。」
「具体的にはどのような?」
「アスフォデルスの蜜酒はアスラウグでも高級品から流通品まで様々ありますが、
色味は薄いピンクで大差ありません。
トゥーラの話では一般国民の多くに被害が出ているということだったので、
原因はそこにあるのではないかと思ったのです。
そこで私は、故国より持参しておりました百科事典を調べ、
私の仮説が正しいことを確認しました。
そしてモーリュという薬草を使えば、
アスフォデルスの蜜酒の中毒症状を緩和できる薬を作ることができると知り、
国民の命を救うことができればと思って薬を作りました。
それを毒薬だと勘違いされてしまったのです。」
クヴァシルに促され、
法廷中の視線がフレイアに注がれる。
フレイアは恐怖で喉が張り付き、
声が上手く出せないでいた。
それでもただ一人自分に温かい眼差しを向けてくれる
オーディンの瞳を見つめると
お腹の底から力が湧いてきた。
「まず最初に申し上げたいことは、
ビフレスト国民の多くが苦しんでいる今回の事件に関して、
私は一切関与しておりません。」
フレイアの第一声に法廷が若干ざわめき出すが、
クヴァシルの右手がそれを封じる。
「王妃様、続けてください。」
「はい、裁判長殿。
ことの始まりは、私に仕えてくれていた侍女のトゥーラが
アスフォデルスの蜜酒を私への誕生日プレゼントを用意してくれたことでした。
トゥーラが贈ってくれたアスフォデルスの蜜酒は、
私が晩餐会や故国で目にしたそれとは見た目が異なっていました。赤みが強いのです。
話を聞くと、蜜酒にはいくつかランクがあり、安価なものになるにつれて赤みが増すとのこと。
私はこれに違和感を抱きました。」
「具体的にはどのような?」
「アスフォデルスの蜜酒はアスラウグでも高級品から流通品まで様々ありますが、
色味は薄いピンクで大差ありません。
トゥーラの話では一般国民の多くに被害が出ているということだったので、
原因はそこにあるのではないかと思ったのです。
そこで私は、故国より持参しておりました百科事典を調べ、
私の仮説が正しいことを確認しました。
そしてモーリュという薬草を使えば、
アスフォデルスの蜜酒の中毒症状を緩和できる薬を作ることができると知り、
国民の命を救うことができればと思って薬を作りました。
それを毒薬だと勘違いされてしまったのです。」



