心優しい国王は王妃を堂々と愛したい

男女の色恋に疎いフレイアだって、
男性とベッドを共にすることで
起こり得るあれこれについて
全く無知というわけではない。
フレイアが戸惑う一方で、
オーディンはさっとベッドに腰掛けると
空いている半分をポンポンと叩いて
ここにおいでとフレイアに促す。
『明日の裁判の行方によっては
こんな機会が訪れることは2度とないかもしれない』
と思い直したフレイアは
おずおずとベッドにもぐり込むのだった。

「情けない夫ですまない。」
しばしの沈黙の後、
オーディンがポツリと言葉を漏らした。
「離宮に閉じ込められたばかりか、ありもしない罪を疑われて、随分と辛い思いをさせてしまった。
私は臣下を制御することもできず、妻を守ることもできなかった。」
オーディンの言葉からは、
彼が人知れず抱えて来たであろう苦悩がうかがえた。
オーディンのせいではないと分かっているフレイアも
つい胸が苦しくなる。
「今回のことは、立場を弁えず出過ぎたことをしてしまった私に非があります。
お手を煩わせてしまい、申し訳ございません。」
「貴女を離宮に留めることになったのは、この結婚に際して貴族たちの譲歩だったんだ。
何としても戦を終わらせたかった私はその条件を飲んだ。
離宮にいてくれた方が貴族たちの悪意から貴女を守れるのでは、とも思ってね。」
オーディンの話を、
フレイアはただ黙って聞いていた。