心優しい国王は王妃を堂々と愛したい

「オーディン様。もう夜も更けておりますし、そろそろ失礼いたしますわ。」
フレイアが退出の意向を告げると、
オーディンがキョトンとした顔をする。

「帰ってしまうの?」
オーディンがポツリと言った一言に、
フレイアはどう返して良いのか分からなくなってしまう。
「あの、別に帰りたいというわけではなくて・・・」
「私とあなたはれっきとした夫婦だ。あなたが嫌でなければ、この手を取ってほしい。」
はっきりそう告げられると、
その瞳からもう目を逸らせなかった。
フレイアがおずおずとその手を取ると、
オーディンは満面の笑みを見せる。
それにつられて、
フレイアも思わず頬を紅く染めた。

オーディンに手を取られて
ベッドの縁に腰掛けたフレイアは、
自身の身体が沈み込んでいくことに感動した。
こんなフカフカのベッドで寝れたら
どんなに幸せだろう。
ベッドの感触を何度も確かめる間に
隣にいるオーディンのことは
すっかり忘れてしまっていた。
ククッ、
っという笑い声で我に返ったフレイアは
一気に羞恥が込み上げる。
「私ったら、子どもみたいにはしゃいでしまって。
申し訳ございません。」
「いや、いいんだ。気に入ってくれたなら、なおさら今日はこちらで休むといい。私は一向に構わないよ。」