心優しい国王は王妃を堂々と愛したい

「なるほど。国民の体調不良はアスフォデルスの蜜酒が原因で、フレイアは解毒薬を作っていたというわけか。」
「はい。アスフォデルスの蜜酒が原因だというのは私の仮定に過ぎませんが、トゥーラに教えてもらった状況と蜜酒の禁断症状がよく似ていて・・・あっ、トゥーラは今どこに?彼女も私と同じ地下牢に。」
思わず立ち上がったフレイアを、
オーディンが落ち着かせる。
「トゥーラも保護しているから安心して。信頼できる者に任せて、養生させているよ。」
「そうですか。良かった。」

トゥーラを巻き込んでしまったことに
フレイアはずっと罪悪感を感じていた。
(落ち着いたら、トゥーラに謝りに行かなくては。)
悩みごとが1つ消え去ると、
今まで気にしていなかったことに
自然と目がいくものだ。
「あの、今さらですがこちらのお部屋は?」
「ん?もちろん、私の部屋だよ。」
オーディンは事も無げに答える。
オーディンへの恋心を自覚したフレイアは、
彼のプライベートエリアにいるということに
無性にドキドキしてしまう。
色味はモノトーンでセンスよくまとめられ、
金の装飾が施された家具は重厚感を感じさせる。
素朴なギムレー宮とのあまりの違いに
急にいたたまれなくなった。