心優しい国王は王妃を堂々と愛したい

「浮気をしたなんて・・・一体どういうつもりなの?相手はどこの誰?」
「それを聞いてどうするんだ?女王の権力で彼女を殺すのか?」
自分の不貞を追及されても、
ジグムントは悪びれることはない。
「なんなのその態度。誰のおかげでなに不自由のない生活を送れていると思っているのよ!」
「別に俺がお願いしたわけじゃない。君の側から請われて俺はこの国に来た。さして興味があるわけじゃないが、俺は国政の一切に関わらせてもらえない。その上、家庭は崩壊している。外の世界に居場所を求めるのは当然だと思わないか?」
「家庭が崩壊したのは、あなたのせいでしょう?」
「いや、もうずっと前から崩壊しているね。君は俺との夫婦生活を拒否したばかりか、実の子供たちとの繋がりさえも絶ってしまった。ウルズがヴァイオリンが得意なことも、ヴィーザルが虫採りが大好きなことも君は知らないだろ?ヴェルザンディが高熱にうなされて君を呼んでいた時も、君は枕元に来ることはなかった。あの子たちはもう君をママとは思っていないだろうね。」
ジグムントの言葉に、
ヘリヤ女王は何も言えなかった。
もう長らく子どもたちの顔を見ていない。
養育係からの報告を聞いて、
子どもたちのことを知っている気がしていた。