専属侍女のトゥーラとは
昼下がりの午後にお茶をすることが
日課のようになっていた。
フレイアにとっては人生初のお茶飲み友達である。
トゥーラは侍女としての立場を弁えているが、
年の近い2人は自然と友情を深めていった。

そんなある日、
トゥーラから気になる話を耳にした。
最近、
体調不良を訴える国民が続出しているというのだ。
感染症が流行しているわけでもなく、
今まで健康そのものだった国民が
突然体調不良を訴えるものだから
医者も原因が分からず
対応に苦慮しているそうだ。
不思議なことに
免疫力が低いと思われる赤ちゃんや子どもは
該当する症状は出ていないらしい。
「街のみんなも気味悪がって、『魔女の仕業じゃないか』なんて言い出す人もいるんですよ。」
トゥーラは顔をしかめた。

魔女狩り。
かつて医学も科学も未発達だった時代。
度重なる不吉な出来事は
魔女の仕業に違いないと信じ込んだ人々は
魔女を探し出しては火あぶりにした。
この悲しい歴史はビフレスト王国にも存在する。
また悲劇が繰り返されようとしているのか。
曲がりなりにも王妃である自分に
何かできることはないのだろうかと
フレイアは思わずにはいられなかった。