心優しい国王は王妃を堂々と愛したい

「ヴァールをアスラウグ王家の別荘で療養させようと思う。」
その日の夜、
ヴィーザルとの晩餐を終えて
私室に戻ってきたオーディンは、
フレイアに告げた。
広大なアスラウグ王国の領土に、
王家はいくつかの別荘を所有している。
そのうちの1つにヴィーザルが招待したのだという。
「ミュルクヴィズは風光明媚な高原地帯で空気も綺麗だし、アスラウグ国内なら、今よりも最先端の治療ができるそうだ。ヴィーザル殿が非常に熱心に誘ってくれることだし、ヴァールのためにも良いのではないかと思うんだ。」

フレイアはヴァールが難色を示すのではと思ったが、
意外にもヴァールはヴィーザルの招待を受け入れた。
やはりというべきかヴォルヴァは断固反対していたが、
国王命令だとオーディンが押し切ったらしい。
それから間もなくしてヴァールは
アスラウグへと旅立って行った。

ヴァールがビフレスト王国に帰還するのは
これより約半年後のことである。