オーディンとフレイアの幸せの陰で、
もうひとつのハッピーエンドが誕生していました。




アスラウグの新国王ヴィーザルは、
自分の国の立て直しに忙殺される中、
時間を見つけてはビフレストへと足を運んでいた。

ヘリヤ女王はなかなかの守銭奴だったらしく、
財務大臣が管轄する国庫とは別に
女王のプライベートマネーがたんまりとあったため、
ヴィーザルはビフレスト国民の治療のために
ありがたくそれを使わせてもらうことにした。 
資金をどう捻出しようかと悩んでいたので、
この時ばかりはあの毒母に感謝せずにはいられなかった。
ビフレストに派遣した医師団からは
逐一状況を報告してもらっており、
幸いにも多くの患者が中毒症状から回復し、
日常生活に復帰できているとのことだ。

医者でも何でもないヴィーザルが
ビフレストに行ったところで
状況が何か変わるわけではない。
それでも足繁く通っているのは、
国王と仲睦まじい妹を頼りに、
何とか両国の関係を改善しようと頑張っているんだな、
と周囲からは解釈されていた。
一方で、
頻繁に訪問を受けるフレイア王妃は
兄の真の目的に勘づいていたのだった。