心優しい国王は王妃を堂々と愛したい

一方のフレイアは
しばらく放心状態で被告人席に座っていた。
無罪になったことが信じられなかった。
そんなフレイアを現実に引き戻してくれたのが
オーディンだった。

「良かった。本当に良かった。」
オーディンは満面の笑みでフレイアの肩をさする。
「陛下がお力添えをしてくださったおかげです。
なんとお礼を申し上げたら良いか、、、
トゥーラも、そしてエイルさんもありがとう。」
「王妃様が無罪で本当に良かったです!」
前日にオーディンから指示を受けたトゥーラは
百科事典をギムレー宮まで取りに行ってくれたらしい。
この事典がヴォルヴァ達に押収されていなかったのが
不幸中の幸いだった。

「しかし安堵するにはまだ早い。
フレイアが作った薬が治療に効果があると
示さなければならない。」
すると、
それまで黙っていたエイルが声を上げた。
「この件に関しましては私がお力になりましょう。
急ぎ私の研究室で効果の有無を測定しますので。」
裁判長もオイルのことを知っていたので、
国内では有名な女性なのかもしれないが
フレイアには誰なのか分からない。
フレイアの感情を咄嗟に読み取ったエイルは
フレイアの方に向き直って自己紹介する。
「ご挨拶が遅くなりまして申し訳ございません、王妃様。
私、王家専属の薬師を務めているエイルと申します。以後お見知り置きを。」