次の日、団長に無理やり引きずられて、サーシャは王城の一室に放り込まれた。サーシャは上座に座る王様を一目見て、固まっていた。


(王様、マジ個性的、これは予想外!)


初めて王様を目の当たりにして、ルテが言っていた意味がよくわかった。

王様は王族らしい高級な服に身を包んでいらっしゃって、マントなんてつけていらっしゃる。それは予想通り。王様といえばそういう格好をしていると予想できる。


(いや、顔!!)


王様は鼻から下のくちばしマスクではなく、顔全体を覆い隠すタイプのくちばしマスクを着用中だ。目の部分には丸くて黒い穴がぽつんと二つ開いていて、真っ黒の空虚の向こうから視線を感じる。こわ。


(顔全部を隠す必要どこにあったの?御付きの人たちものすごい真顔なんだけど、あれ正解なの?あれで王様の登場として正解なの??いつもそれつけてるの?)