ルテが細い首で酒をコクリと鳴らして、団長を心から褒める。


あの死の森の遠征中でもこの王都の盾魔法を維持していたのは、国でただ一人の盾魔法の使い手、団長だという。眼帯をつけた団長が隻眼で木の天井を見上げて、団長は酒を喉に流し込む。


「周りは死の森の毒気で何も育たねぇ。森には無数の大蜘蛛。国を捨てて国外に逃げていく連中も増える一方だ……隣の国にでもたどり着けてりゃいいけどな」


グビと喉を鳴らす団長は、酒の刺激にプハッと息を吐いた。


「この国に見切りをつける気持ちはわかるけどよぉ……俺はまだここで酒を飲んでる。何があったって死ぬまでこの国で飲むんだよ俺は」


団長は酔った口調でぼーっと寂しい余韻のする言葉を吐いた。サーシャには団長は滅亡間近の祖国を捨てる気がないということがジンと伝わった。


滅びゆく国で騎士団団長なんてやってるのだ。彼の愛国心が誰より強いのは言うまでもない。


その眼帯の下の傷はもしかしたら、国を守るためについたのかなと予想できてしまう。


「団長、ちょっとだけかっこいいです」

「あ、ちょっとだけ!?すごいかっこいいだろうがよ!」